日増しに秋の深まりを感じる季節となりました。
さて、11月の行事食は けんちん汁 です。
11月15日は「油祝い」と言い、油気のあるものを食べる風習があります。
もともとは、旧暦の11月15日にモチや植物油を用いた料理を神前に供えて、油の収穫を祝ったものでした。
その後、冬期になると、油を灯火として使用するばかりでなく、寒さに備えて油分のあるものを多く食べるなど、油を使用する機会が増えることから、この日を油の使い始めの日として祝う意味合いが強まりました。
冬ごもりの前に、生命力を補給することを願ったのでしょう。
昔は、今から想像できないほど油は貴重なものでした。
とくに農村地帯では、家々でしぼり機を用いて菜種、胡麻、荏胡麻(えごま)などから油を自家製造していました。
たくわえられた少量の植物油は、厳しい冬の間、長い夜を灯し、寒気から人々の身を守ったのです。(一般社団法人日本植物油協会)
「こたつ開き」をするのもこの時期です。本格的な冬の寒さに備えるために、体の中から温まる具をたくさん入れてけんちん汁を作っています。
けんちん汁は、中国からの渡来食がルーツで、ところによって「けんちゃん汁」「建長汁」ともいいます。
野菜を油で炒めることで、香りとコクがでます。
地方により鶏肉や油揚げなどを入れますが、豆腐を混ぜるのが基本。野菜やきのこなどいろいろな食材を入れて、具だくさんにしましょう。
院内では けんちん汁のレシピ をご紹介しております。
来院された際には一度ご覧になってください。
管理栄養士 小島 千佳